

【要注意!】クラスTシャツが届かない!?日経新聞記事から考える著作権と、私たちが守るべきこと
先日、日経新聞に衝撃的な記事が掲載されました。あるプリント業者にクラスTシャツを注文したにも関わらず、商品が届かなかったというものです。原因は、デザインに含まれていた企業ロゴマークや著作物が税関で没収されたこと。さらに驚くべきは、そのデザインが「業者が提供するテンプレート」だったという点です。
つまり、業者のテンプレートを使って注文したにもかかわらず著作権違反で差し止められ、納期に間に合わなかったためキャンセルを申し出ても受け入れられず、1枚あたり1,000円のキャンセル料を請求されたというのです。これは、楽しみにしていた学生さんたちにとって、あまりにも理不尽な話ではないでしょうか。
法的意識の低い業者が生む悲劇
残念ながら、このような法的意識の低い業者が存在することは、私たちも以前から把握していました。学生の皆さんが、憧れの企業ロゴに似せたTシャツを作りたい気持ちは痛いほど分かります。しかし、著作権は非常にデリケートな問題です。
当社では、以前から学生さんから企業のロゴに似せたデザインの申し込みがあった場合、一時的に企業に確認を取るなどの対応をしてきましたが、残念ながら企業がデザインを認めることはほとんどありません。そのため、発注者にはデザインの変更を促すことになりますが、中には「他で作ってくれる業者があるから」と、キャンセルされてしまうケースも少なくありません。
上場企業としての責任と、業界の課題
当社は上場企業として、コンプライアンスを遵守することは当然の責任です。しかし、上場する以前から、私たちは一貫してコンプライアンスを徹底してきました。もちろん、他にも多くの企業が同じように真摯に取り組んでいます。しかし、一部の企業が安易な方法に手を出す限り、こうした問題は永遠に繰り返されてしまうでしょう。
先日、同業者の方と食事をする機会があり、著作権について意見交換をしました。私たち一部の会社が著作権を理由にお断りしても、結局、安易に著作権を侵害するデザインを請け負う会社が存在する限り、健全な業界の発展には繋がらない、という見解で一致しました。
この著作権の問題は、学生さんだけでなく、一般の方にも共通する課題です。当社では、入稿されるすべてのデザインに対して、著作権チェックを自動化するシステムを構築しています。著作権違反のデザインは受注できないため、お客様にデザイン変更をお願いすることになりますが、その結果、一定の割合でキャンセルとなってしまいます。つまり、私たちは費用をかけてまで、受注をお断りしているのです。年間で換算すると、かなりの件数に上ります。
安易な海外発注が招いた悲劇か
今回の問題が起きた会社は、おそらくこれまで国内で製造していたものを、コスト削減のために海外に依頼したことで、税関での没収という事態を招いてしまったのかもしれません。今後、著作権に違反しないよう体制を改めるのか、あるいは税関を通らない国内生産に切り替えるのかは分かりません。
しかし、何よりもまず、学生の皆さんにも著作権への意識を持ってほしいと切に願います。確かに、学生が企業のロゴにそっくりなTシャツを作ったとしても、企業がいちいち目くじらを立ててすぐに訴訟を起こすことは稀かもしれません。しかし、私が直接企業の知的財産部の方々に伺ったところ、どの企業も「やめてほしい」という点で一致していました。もちろんパロディの度合いにもよると思います。
国民生活センターへの相談が多発!被害を防ぐために
記事にもありましたが、楽しみにしていたTシャツが期日に届かないという問題は、数年前にも多発し、事業者名が公表されたこともありました。国民生活センターには、こうしたクラスTシャツに関する相談が年間数十件も寄せられているそうです。正確な数は不明ですが、おそらく全国で1,500人もの学生が被害に遭ったと推測されています。
被害に遭わないためにも、クラスTシャツやオリジナルTシャツを注文する際には、以下の点に十分注意してください。
* 企業のロゴマークに似せたテンプレートを提供する業者には絶対に注文しないこと。
* そもそも、企業のロゴマークに似せたTシャツを作るのではなく、ゼロから良いデザインを生み出すツールはたくさんあります。 著作権を尊重し、オリジナリティあふれる素敵なTシャツを制作しましょう。
私たちも、より良い製品とサービスを提供するため、そして業界全体の健全な発展のために、引き続きコンプライアンス遵守を徹底してまいります。